副腎のお話

みなさんこんちにちは院長の吉田です。


今回は副腎のお話をしたいと思います。副腎は髄質と皮質の2種類に分かれます。この副腎髄質と副腎皮質はそれぞれ役割が異なります。


まず副腎皮質は発生学的に中胚葉由来(日本人は外胚葉由来が多いです)で、コレステロールを原産とし、数種類のステロイドホルモンを分泌します。特にその機能から3つのステロイドホルモン分泌を行います。


まず一つ目は糖質コルチコイドの分泌。糖質コルチコイドはタンパク質を糖化して血糖値上昇に関与します。また、成長ホルモン分泌抑制や肝臓におけるインシュリン成長因子抑制などの作用があります。病院では免疫抑制剤やステロイド系抗炎症役なんかにも使われます。


二つ目は鉱質コルチコイドの分泌。鉱質コルチコイドは腎臓においてナトリウムイオンの再吸収を促す作用があります。

三つ目はアンドロゲンの分泌。アンドロゲンは男性ホルモン、女性ホルモン分泌に作用します。


特に更年期障害はこのアンドロゲンの不足が要因の一つと言われています。因みにアンドロゲンはテストステロンやDHEAがあります。


副腎は視床下部の下垂体というところから副腎皮質刺激ホルモンなどが分泌されて機能します。因みに副腎は血管と自律神経を介して情報を受け取ります。また、上記に挙げた3つのステロイドホルモンの内もっとも生産面積が大きいのは糖質コルチコイドであります。


副腎疲労において糖質コルチコイドの一種コルチゾールの不足が一番影響を及ぼしてるといっても過言ではありません。

次に副腎髄質はアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミンを分泌します。


カテコールアミンとはモノアミン系神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、ヒスタミンなど)のうちカテコール基を持つアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンのことを指します。


また副腎髄質は 副腎皮質 に包まれていて副腎全体の約30%も満たないと言われています。


残りは副腎皮質でも束状帯と呼ばれるコルチゾールを分泌する部位が多くを占めます(コルチゾールは血圧や血糖を高めます)。また、発生学的に副腎髄質は外胚葉由来と言われています。


※ 豆知識: ドーパミンを生成する神経細胞が減少して起こる疾患としてパーキンソン病があります。血中のドーパミンは血液脳関門を通過できないため、お薬ではドーパミンの前駆体であるL-DOPAを投与します。


しかし、L-DOPAは疾患の原因である黒質の神経細胞の減少を抑えることができないため、現在では幹細胞を使って黒質の神経細胞を再生する研究が行われています。


逆にドーパミンを神経伝達物質とする神経回路が過剰に活動することによって起こるとされる疾患として統合失調症があります(ドーパミン仮説)、しかし発症機序は明確には分かっておらず、仮説の域を出ていないのが現状です。


話は戻りますが、副腎髄質とつながっている神経は自律神経でも交感神経です。交感神経が刺激されると副腎髄質からカテコールアミンが分泌され、中でもアドレナリンとノルアドレナリンは心拍数や血圧上昇に作用します。つまり、副腎髄質は闘争逃走反応に対応する器官であるということです。


また、カテコールアミン受容体は体全体に分布されているのでいついかなる時にも闘争・逃走ができるように体は作られています。 


面白いのは副腎皮質は下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンが分泌されて副腎皮質を刺激するのですが、副腎髄質は下垂体ではなく交感神経節後線維から刺激を受けて情報伝達を行うということですね。


神経とホルモンでは神経の方が情報伝達スピードが優れますから、闘争逃走反応において前者のほうが理にかなっているのです。


例を挙げるとすれば、曲がり角から急に車が飛び出したとして、体がびっくりしますよね。このとき体は闘争逃走反応を起こします。


つまり、交感神経を奮い立たせ(血圧上昇、心拍数上昇など)体を臨戦態勢に整えなければなりません。もし、副腎髄質がホルモンからの刺激で作用するならば伝達スピードが遅いため効率が悪いのです。