不眠

不眠は自律神経失調症の中でもトップクラスに多い症状の一つです。また、不眠は、脳幹網様体にある睡眠覚醒中枢が光や音、情動系の入力により刺激され、それが大脳皮質に伝わることで起こります。


睡眠に欠かせない化学物質としてアデノシンがあります。アデノシンは体のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)という物質の代謝産物であります。

この代謝産物であるアデノシンは日中活動することで体内に蓄積し、その後、脳を覚醒させる作用のあるヒスタミンの放出を抑制させる作用があります。

※豆知識:アレルギー薬である抗ヒスタミン薬の副作用として眠気がありますが、これは脳の覚醒作用があるヒスタミンの放出抑制が起きるからです。

ヒスタミンは睡眠覚醒の中枢である視床下部の結節乳頭核から大脳に投射されていますが、アデノシンは同じ視床下部にある腹側外側視索前野という部位を活性化させて、ヒスタミンを放出する結節乳頭核の活動を抑え込んでいるのです。

しかし、光や音、情動系、カフェインなどの刺激は覚醒中枢を活性化し、眠気の化学物質であるアデノシンの受容体拮抗作用として働くので、結果的に覚醒物質であるヒスタミンの放出を促してしまうのです。

 

症状

 

●入眠障害

●中途覚醒

●早朝覚醒

 

原因

 

不眠の原因は基本的には生活習慣、仕事、人間関係、家庭環境からくるストレスが中心になります。

不眠の施術法としてサーカディアンリズムを正常化させるために体性刺激を介して視床下部、島皮質へ適刺激を入力しなければなりませんが、徒手療法において大事なことは生理学的なメカニズムをしっかりと理解してアプローチを行うことです。