五十肩・四十肩は、腱板断裂や石灰性腱炎などを含む病態以外の疾患群の総称として呼ばれています。また、五十肩・四十肩は別名で肩関節周囲炎、癒着性関節包炎ともいいます。
五十肩・四十肩は以下の疾患群との鑑別が大事になります。
●腱板断裂
●石灰性腱炎
●上腕二頭筋長頭腱炎
●上腕二頭筋長頭腱断裂
3つのサイクル
五十肩・四十肩は以下の3つのサイクルがあります。
●炎症期(数週間から数か月)
●凍結期(数週間から半年以上)
●解凍期(数か月から数年)
五十肩・四十肩は個々の病態により改善期間が異なります。これは体質、生活習慣、ストレスなどが大きく影響します。
ここで重要なのが、五十肩・四十肩は後述する肩のファイアリングシークエンス(筋の活動順番)が乱れている状態といえます。
五十肩・四十肩のリハビリ期において、この肩のファイアリングシークエンスを正常に戻さないと予後がかなり悪くなりますので注意が必要です。
正しいリハビリを行わないと以下の状態に陥りやすいです。
●猫背
●頸椎症
●関節拘縮
五十肩・四十肩の症状
五十肩・四十肩は以下の症状があります。
●肩が挙がらない
●肩関節の動きが悪くなる
●夜間痛
夜間痛がある場合、夜中にズキズキ痛み、ときに眠れないほどになることもあります。
好発年齢
中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。
原因
加齢による退行性変性で、関節を構成する骨や軟骨などの組織が傷つき炎症を起こすことが主な原因と考えられています。
また、肩関節の炎症要因はいくつかありますが生活習慣、ストレス、荷重負荷などが挙げられます。
五十肩・四十肩に関係する筋肉
五十肩・四十肩はローテーターカフなどのインナーマッスルから大胸筋や三角筋などのアウターマッスルの柔軟性低下が顕著にみられます。
五十肩・四十肩により癒着する筋肉
●肩甲下筋
●小円筋
●棘上筋
●棘下筋
●大円筋
●三角筋
●広背筋
●大胸筋
肩峰下部の癒着
肩峰下部には侵害性ストレスに多く反応する自由神経終末が存在します。五十肩・四十肩において肩峰下部の癒着は多い所見の一つです。
肩峰下部の癒着を剥がすアプローチも五十肩・四十肩において重要となります。
ファイアンリングシークエンス
ファイアリングシークエンスとは筋肉の活動の順番を意味します。五十肩・四十肩がある方は、正常な筋の活動が乱れている傾向があります。
また、五十肩・四十肩において、肩の外転運動は非常に密接な関係があります。五十肩・四十肩の影響により、ファイアリングシークエンスが乱れていることで肩の外転運動の機能低下が起こり、正常な肩の外転運動ができなくなります。
肩の外転運動は、肩を動かす機能全般に悪影響を及ぼすため、結果的に肩こりの悪化に大きく影響します。
例)ファイアリングシークエンスが乱れると以下の筋肉の働きが悪くなります。
働きが亢進する筋肉
●肩甲挙筋
●上部僧帽筋
●三角筋
働きが低下する筋肉
●中・下部僧帽筋
●広背筋
●菱形筋
セルフケアにおいてこれらの筋肉のバランスを改善させる最適なトレーニング方法がありますのでご紹介したいと思います。それは立甲トレーニングというものです。
肩の体操
五十肩・四十肩において、肩の体操は最初の期間である炎症期にはあまり行わないように注意してください。理由は肩関節内の炎症を悪化させる可能性があるからです。体操やトレーニングは炎症期過ぎた後に行いましょう。