冷え性のお話

今回は冷え性とカイロプラクティックについてお話したいと思います。

 

今の時期、冷え性をお持ちの方は非常に辛い時期だと思います。外出する際は防寒対策をしっかり行う必要があります。

 

さて冷え性ですが、カイロプラクティックと冷え性のつながりを考えるにあたり、まず体温調節中枢がどこにあるのかを理解することが重要となります。

 

体温調節中枢は脳の視床下部と呼ばれる場所にあります。視床下部は体のホメオスタシス(生体内の恒常性維持機能)を司る場所でもあり、その一つに体温調節も含まれます。

 

外界からの刺激(冷気)を皮膚や血管(圧受容器)などの感覚受容器が感知し、その情報が脳に入力され体の熱産生をコントロールします。

 

基本的に生物は脳を含め心臓や肝臓などの中心臓器を重視するため、体の中心温度が下がらないようにコントロールします。そのため、手足などの末梢組織の熱産生は後回しにされます。

 

例えば、冷たい空気が直に手足を刺激すると、脳は体内から熱が逃げないように手足の血管を収縮させます。手足の血管が収縮することで血流は悪くなりますが、その分体内の熱は放出されにくくなります。

 

また、熱産生において重要な組織は筋肉、肝臓、甲状腺などが挙げられます。この中で最も熱産生の割合が多いのは筋肉です(甲状腺はホルモン器官なので少し意味合いが異なります)。

 

※甲状腺の機能が低下すると、新陳代謝や熱産生の効率が悪くなるため、冷え性などの不定愁訴が出現します。因みにカイロプラクティックでは甲状腺の反射ポイントを用いた髄節反射テクニックがあります。

 

ところでカイロプラクティックと冷え性は何が関係があるの?と疑問を持たれる方がいらっしゃると思われます。

 

確かに関節の機能障害を改善させるカイロプラクティックと冷え性では辻褄が合わないですよね。また関節を調整することと冷え性の因果関係がイメージしにくいのも当然です。

 

しかし、神経生理学の観点から考えるとカイロプラクティックと冷え性の関係がつながってきます。まず、先述したように体温調節中枢は視床下部にあります。

 

カイロプラクティックの理論の中心となる関節機能障害(サブラクセーション)は神経生理学上、自律機能を司る脳幹や視床下部に負担をかけるといわれています。

 

つまり、関節機能障害が脳幹や視床下部に悪影響を及ぼし、体の自律機能を低下させている間接的な要因を作っていると理論づけられています。これは花粉症などのアレルギー症状にも当てはまる理論であります。

 

そして、関節機能障害をアジャストメントすることで脳幹や視床下部に適刺激が入力され自律機能が向上し、ホメオスタシスが整うといった流れです。

 

しかし、これらの理論によるエビデンスはまだまだ少ないため、継続的な臨床研究を行う必要があります。