うつ病のお話

みなさんこんにちは院長の吉田です。

 

今回はうつ病についてお話したいと思います。

 

うつ病

 

うつ病は、気分が落ち込む、やる気が起きない、悲しくなるなどの抑うつ気分が特徴として挙げられます。うつ病はただの落ち込みとは異なり、脳の報酬系システムが異常をきたしている状態といえます。

 

症状

 

うつ病の主な症状は、抑うつ気分などの精神症状ですが、肩こりや腰痛、不眠、食欲などの症状も出現します。

 

●気分が落ち込む

●やる気が起きない

●悲しくなる

●不眠

●肩こり、腰痛

●食欲低下

●副腎疲労

 

うつ病の方は朝目覚めた時が一番症状が重いと言われています。これは副腎機能に置き換えると、副腎ストレスホルモンは朝が分泌量のピークになるため、うつ病の方は副腎の機能も悪くなっている傾向にあります。

 

原因

 

うつ病は様々なストレス要因がきっかけで出現します。

 

・物理的ストレッサー

・化学的ストレッサー

・生物的ストレッサー

・心理的・精神的ストレッサー

 

モノアミン仮説

 

うつ病を含め、統合失調症や躁うつなどの精神症状のほとんどが、モノアミン系神経伝達物質のサイクルが破綻している状態といえます。

 

モノアミン系神経伝達物質とは?

 

モノアミン系とはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称を指します。

 

モノアミン系は幸福や快楽の感情を司るA10神経(脳報酬系)や反対のイライラ、怒り、不快な感情を司るA6 神経などの神経伝達物質として働いています。

 

精神疾患のほとんどは、このモノアミン系神経伝達物質の働きが正常に機能していないと言えます。

 

ノルアドレナリンが不足すると

 

ノルアドレナリンが不足すると不安や恐怖といった感情が生まれやすくなります。

 

ドーパミンが不足すると

 

ドーパミンが不足すると意欲や注意力が低下します。

 

セロトニンが不足すると

 

感情にブレーキがかかりにくくなります。

 

視床下部や脳幹網様体

 

うつ病や統合失調症などの精神症状は、自律機能の総合中枢である視床下部や脳幹網様体の機能が低下しています。

カイロプラクティックの理論ではサブラクセーションは視床下部や脳幹網様体に侵害刺激を入力するといわれています。

 

サブラクセーションにより脳幹網様体が刺激されると以下の作用が起きます。

 

●身体全体の緊張状態の増大

●交感神経活動の増大

●免疫力の低下

 

脳幹網様体が刺激を受けると、脳報酬系にも悪影響を及ぼすためサブラクセーションの改善は不可欠といえます。

 

不眠とうつ病

 

不眠はうつ病の中でもトップクラスに多い症状の一つです。また、不眠は、脳幹網様体にある睡眠覚醒中枢が光や音、情動系の入力により刺激され、それが大脳皮質に伝わることで起こります。

 

睡眠に欠かせない化学物質としてアデノシンがあります。アデノシンは体のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)という物質の代謝産物であります。

 

この代謝産物であるアデノシンは日中活動することで体内に蓄積し、その後、脳を覚醒させる作用のあるヒスタミンの放出を抑制させる作用があります。

 

※豆知識:アレルギー薬である抗ヒスタミン薬の副作用として眠気がありますが、これは脳の覚醒作用があるヒスタミンの放出抑制が起きるからです。

 

ヒスタミンは睡眠覚醒の中枢である視床下部の結節乳頭核から大脳に投射されていますが、アデノシンは同じ視床下部にある腹側外側視索前野という部位を活性化させて、ヒスタミンを放出する結節乳頭核の活動を抑え込んでいるのです。

 

しかし、光や音、情動系、カフェインなどの刺激は覚醒中枢を活性化し、眠気の化学物質であるアデノシンの受容体拮抗作用として働くので、結果的に覚醒物質であるヒスタミンの放出を促してしまうのです。

 

特にうつ病の方は、情動系(感情を含めた)によるアデノシンの受容体拮抗作用が強く作用します。