今回はアレルギー症状についてお話したいと思います。
私たちの体は、外部から侵入してきた異物に対して抗体を作って排除しようと戦います。その働きを担うのは主に白血球という細胞です。
白血球は単球、顆粒球、リンパ球の3つに分かれます。
■単球(交感神経優位)
・マクロファージに分化
・樹状細胞に分化
■顆粒球(交感神経優位)
・好中球
・好酸球
・好塩基球
■リンパ球(副交感神経優位)
・ナチュラルキラー細胞
・T細胞
・B細胞
白血球は造血幹細胞という前駆細胞が分化してできる血球です。また、白血球の種類や成長時期によって生産場所が異なりますがおお元は肝臓(胎児期)、骨髄で作られますが、脾臓や胸腺でも作られます。
※「豆知識:造血幹細胞はその名の通り幹細胞(自己複製能と様々な細胞に分化する能力を持つ特殊な細胞のこと)
の一種です。
赤血球、血小板、顆粒球、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球(T細胞とB細胞)は造血幹細胞という一種類の幹細胞が分化して生産されます。
免疫には自然免疫と獲得免疫の二つの種類があります。自然免疫とは、受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組みです。生体防御の最前線に位置している仕組みともいえます。
一方の獲得免疫は、感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組みです。アレルギー反応は獲得免疫で機能します。
また、アレルギーは主に花粉症、気管支ぜんそく、結膜炎、皮膚炎、食物アレルギー、薬物アレルギー、膠原病などがあります。これらの症状は以下の4種類のアレルギーの型に分けることができます。
Ⅰ型アレルギー: 花粉症やアトピーなど
Ⅱ型アレルギー: 自己免疫疾患(溶結性貧血、交感性眼炎)
Ⅲ型アレルギー: 自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)
Ⅳ型アレルギー: 他人の臓器を移植して起こる拒絶反応など
ほとんどのアレルギー反応はⅠ型アレルギーで起こることが多いです。このⅠ型アレルギーの発生機序をお話したいと思います。私たちの体に侵入してくるアレルゲン(異物)を免疫細胞の一つであるリンパ球が反応してIgE抗体を作ります。IgE抗体は免疫を構成する肥満細胞にくっつきます。
この状態で、再度進入してきたアレルゲンはIgE抗体と結合した肥満細胞にくっつきます。そして、肥満細胞はその刺激を受け取ってヒスタミンなどの炎症物質を吐き出します。大量のヒスタミンが吐き出されると体中の組織に作用してくしゃみ、咳、涙、じんましんなどの症状が起きます。
では、自律神経系とアレルギー反応はどのような関係があるのでしょうか。以下が交感神経と副交感神経の免疫反応のまとめです。
交感神経系の免疫
・体温低下
・血流低下
・リンパ球減少
・顆粒球増加
副交感神経系の免疫
・体温上昇
・血流増加
・リンパ球増加
・顆粒球減少
交感神経系は顆粒球などの自然免疫が優位に働き、副交感神経系はリンパ球などの獲得免疫が優位に働きます。
基本的にアレルギー反応は副交感神経が優位に働きます。この副交感神経の働きが亢進している状態がアレルギー反応を示しているといえるでしょう。
季節による免疫力の変化もみていきましょう。以下がまとめになります。
気温
・高温:リンパ球増加
・低温:顆粒球増加
気圧
・高気圧:顆粒球増加
・低気圧:リンパ球増加
●春はスギ花粉などのアレルギー疾患が増えるためリンパ球優位になります
●冬は顆粒球が優位になるため風邪やインフルエンザなどの病気にかかりやすくなります
■アレルギーの予防と治療とは?
では現在主流となっている医学的なアレルギー治療は薬物療法が挙げられます。また、予防としては花粉やハウスダストなどのアレルゲンの侵入を以下に抑えるかが重要になります。
Ⅰ型アレルギーに対するお薬として主に2種類があります。一つは肥満細胞からヒスタミンなどの炎症物質の放出を阻害する抗アレルギー薬です。もう一つは放出されがヒスタミンが粘膜などの組織にくっつくのを阻害する抗ヒスタミン薬です。
また、お薬の副作用として以下の項目があります。
・眠気
・めまい
・胃腸障害
また、高血圧などの生活習慣病があるかたはアレルギーの市販薬などを購入する際は必ず薬剤師に相談しましょう。
■カイロプラクティック・ケアではどんなことをするの?
アレルギー症状におけるカイロプラクティック・ケアでは実際にどんなことをするのかお話したいと思います。当院ではまず患者さんのアレルギー症状の原因であるアレルゲンを把握します。カウンセリングや検査で8割は分かるのですが、わからない場合は専門機関で血液検査などをしていただくことがあります。
そして、一番重要なことはアレルギー症状を呈している方の自律神経のバランスです。アレルギー症状を呈する方は副交感神経系の機能亢進がみられる傾向があります。
また、アレルギーと関連する臓器の状態も診る必要があります。アプライドキネシオロジーや機能神経学を用いて検査するのですが、ほとんどの患者さんは副腎、胃、腸、脾臓などの臓器の反射検査において反応がでることが多いです。
アレルゲンの把握、臓器との関連、アジャストメント、生活習慣の改善などを含めたトータル的なケアが必要になります。