頭痛のお話

頭痛は主に片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛の3種類があります。最も多い頭痛の種類は片頭痛と緊張型頭痛になります。ここでは片頭痛を中心に頭痛のメカニズムをお話したいと思います。

 

片頭痛は頭の中の血管が拡がることで出現します。頭の中の血管が広がる原因はいくつかありますが、以下の要因が考えられます。

 

●匂い

●光刺激

●ホルモン

●食べ物

●運動

●睡眠不足

●ストレス

●人ごみ

 

これらの要因が複雑に絡み、脳の太い血管が拡がると、頭の中で一番大きな神経である三叉神経が圧迫され、刺激を受けます。刺激を受けた三叉神経から痛みの原因となる物質が放出され、血管の周りに炎症が起こります。

 

そしてこの刺激が大脳に伝わり、“痛み”として認識されることによって、頭痛が起こるのです。この三叉神経からの刺激が大脳に到達する過程で視床を通過するため視覚、聴覚、臭覚にも影響を及ぼします。その結果、めまいや吐き気、嘔吐などの随伴症状が出現します。

 

また、頭の中の血管が拡がる原因のひとつに「セロトニンの過剰な放出」が考えられています。上記の要因により脳へ過度な刺激が入力されると、血管を収縮させる作用をもつ「セロトニン」が大量に放出され、脳の血管が収縮します。

 

その後、時間の経過とともにセロトニンが分解・排泄されて減少すると、収縮していた血管が今度は反動で急激に拡がり、頭痛が起こるというものです。

 

主な片頭痛の発症機序

 

●三叉神経仮説

●セロトニン仮説

 

この二つが一般的な片頭痛の発症機序と考えられています。

 

頭痛薬の種類

 

頭痛薬には主にトリプタン系薬剤とエルゴタミン製剤の2種類があります。

 

●トリプタン系薬剤

 

・片頭痛発症後の初期~中期の服用が望まれます。

 

●エルゴタミン製剤

 

片頭痛発症の前兆の服用が望まれます。

 

緊張型頭痛

 

緊張型頭痛は、頭頚部周辺の筋肉や筋膜が緊張し、頭蓋内圧が変化して発症する頭痛です。主な原因として以下が挙げられます。

 

●肩こり

●猫背

●ストレス

●トリガーポイント

●頸椎サブラクセーション

 

緊張型頭痛に関与する筋肉

 

●後頭下筋群

●上部僧帽筋

●胸鎖乳突筋

●肩甲挙筋

●斜角筋

 

上記で挙げた筋肉は頭痛に関与するトリガーポイントが豊富に存在しています。

 

群発性頭痛

 

群発性頭痛は、頭痛の中でもトップクラスの痛みが出現すると言われています。目の奥がえぐられるような痛みや頭がかち割れるような痛みが出現すると言われています。また、群発性頭痛は女性より男性のほうが多いと言われています。

 

群発性頭痛は頭痛薬や痛み止めが効かないこともある非常に厄介な頭痛です。しかし、片頭痛や緊張型頭痛に比べると発症率は低い頭痛です。

 

症状

 

●目の奥がえぐられるような痛み

●頭がかち割れるような痛み

 

群発性頭痛はくも膜下出血や脳梗塞などの脳疾患と似たような頭痛が出現する傾向にあるため、まずは専門機関で鑑別してもらうことが大事になります。

 

脳疾患の場合は頭痛の他に体の麻痺やしびれ、手足のふるえ、筋力低下、体重減少、ろれつが回らないなどの随伴症状があるのが特徴ですが、群発性頭痛はそれらの症状は出ないのが一般的です。

 

原因

 

群発性頭痛の明確な原因は未だによくわかっておりません。現段階では仮説の域でしかないのが現状です。

 

●三叉神経説

 

●視床下部説

 

●血管拡張説

 

これらの仮説は片頭痛の仮説と類似することが多いです。また、ほとんどの頭痛に共通することは自律神経の総合中枢である視床下部や脳幹網様体に一定の負荷がかかった結果頭痛が出現します。

 

後頭神経痛

 

後頭神経痛は、後頚部周辺の筋肉や筋膜が緊張し、血管が炎症を起こすことで出現する頭痛です。 また、むち打ち症後の合併症で出現することがあります。

 

後頭神経痛は以下の神経領域で出現します。

 

● 大後頭神経

●小後頭神経

●大耳介神経

 

いずれもこれらの神経は後頭部の筋肉に分布しています。またこの疾患を抱えるほとんどの方で後頭部周辺の過緊張や圧痛が認められます。

 

症状

 

●後頚部周辺のチクチクした痛み(神経痛)

●髪の毛に触れるだけでも痛みが走ることがある

 

原因

 

主な原因として以下が挙げられます。

 

●肩こり

●猫背

●ストレス

●トリガーポイント

●頸椎サブラクセーション

 

後頭神経痛に関与する筋肉

 

●後頭下筋群

●上部僧帽筋

●胸鎖乳突筋 上記で挙げた筋肉は頭痛に関与するトリガーポイントが豊富に存在しています。

 

アルコール頭痛

 

アルコール頭痛はお酒やワインなどのアルコール類を摂取した際に体内で起きるアルコール代謝の影響で出現します。

アルコールを摂取すると体内では脱水素酵素を用いて、最終的に水と炭酸ガスに分解されますが、その過程でアセト

アルデヒドが産生されます。

 

🔶アルコール代謝過程

 

アルコール摂取→アセトアルデヒド→酢酸→炭酸ガス+水

 

※アルコール脱水素酵素(ADH)が体質的に少ない人は体内にアセトアルデヒドが蓄積しやすいため、アルコールによる様々な症状が出現しやすい傾向にあります。

 

このアセトアルデヒドが体内に蓄積することで、脳の血管が拡がり頭痛が出現します。拡がった血管から水分が漏れ出るためむくみなどの症状も出現します。

 

また、アセトアルデヒドの影響でプロスタグランジンなどの痛み増強物質が産生されます。

 

抗炎症・抗酸化食品を摂取

 

アルコールを摂取するときは、同時にEPAやコエンザイムQ10などの抗炎症・抗酸化食品の摂取をおすすめします。

 

●EPA、DHA

●コエンザイムQ10

●ビタミンC、E

●ウコン類

 

ファイアリングシークエンス

 

ファイアリングシークエンスとは筋肉の活動の順番を意味します。緊張型頭痛は首や肩の正常な筋の活動が乱れていることで出現する傾向があります。

 

また頭痛や肩こりにおいて、肩の外転運動は非常に密接な関係があります。ファイアリングシークエンスが乱れていることで肩の外転運動の機能低下が起こり、正常な肩の外転運動ができなくなります。

 

肩の外転運動は、肩を動かす機能全般に悪影響を及ぼすため、結果的に肩こりの悪化に大きく影響します。

例)ファイアリングシークエンスが乱れると以下の筋肉の働きが悪くなります。

 

働きが亢進する筋肉

 

●肩甲挙筋

●上部僧帽筋

●三角筋

 

働きが低下する筋肉

 

●中・下部僧帽筋

●広背筋

●菱形筋

 

セルフケアにおいてこれらの筋肉のバランスを改善させる最適なトレーニング方法がありますので、後でご紹介したいと思います。