交感神経と痛み

今回は交感神経と痛みについてお話したいと思います。自律神経は交感神経と副交感神経に分かれますが、基本的にこの二つの神経は相反する働きを行います。

 

以下が交感神経の作用です。

 

●心拍数上昇

●血管収縮

●散瞳

●血糖値上昇

●腸蠕動運動低下 

●筋緊張の亢進   等

 

人体は内部の恒常性において交感神経と副交感神経のバランスをとりながら活動を行っています。基本的に交感神経は活動を行う作用が中心で、副交感神経は休息を行う作用が中心となります。もちろん、副交感神経優位でも交感神経が全く働かないということはほぼありえません。

 

さて、本題ですが交感神経と痛みの関係ですが、そもそも痛みとは体の危険を知らせるサインの意味合いもあります。その痛みという異常事態から逃れるために体は交感神経の働きを優位に活動させます。

 

わかりやすいのが、多くの方が転倒時に怪我をした際に心臓の鼓動が高まったり、動悸や冷汗をかいた経験があると思います。これらの作用は交感神経の働きが優位に活動しているからです。

 

上記の例えは、急性期におけるものですが、一方慢性期における交感神経と痛みの関係では痛みによる筋緊張や血管収縮作用により局所血流が慢性的に低下します。そうすると虚血状態が続き発痛物質などの生成につながり痛みの悪循環へと移行していきます。

 

上記で挙げた、痛みの悪循環の代表例として「もやもや血管」が存在します。これは回復期における異常な血管生成が生じた結果、先述した虚血状態が発生し痛みへとつながる現象です。また、もやもや血管は異常に生成された血管が画像上もやもやしているように写ることから命名されています。