ストレートネックのお話

ストレートネックとは文字通り首がまっすぐの状態を指します。本来、頸椎30〜40度の湾曲(前弯)があります。 しかし、生活習慣における首や肩への負担や体質的な要因で首の湾曲が減少し、首がまっすぐ=ストレートネックになります。 また、発症年齢は20代以降で、生活習慣における猫背がストレートネックの最大要因と思われます。

 

ストレートネックの特徴

 

●頸椎の前弯角度が少ない

●骨棘や軟部組織肥厚が増加

●首の骨がすり減る

●頭の重さが分散吸収されない

●肩こりになりやすい

 

生活習慣における最大要因

 

ストレートネックになる方のほとんどが、生活習慣における猫背の癖がみられます。猫背は頭の重心位置が通常よりも前に移動するため、首にかかる負担が大きく変わります。 体質的に首の前弯が少ない方もいますが、ストレートネックは首の椎間板の老化速度を早めてしまう原因にもなります。

 

また、通常よりも首に負担が大きくのしかかるため、頚椎症、椎間板ヘルニア、狭窄症などの頸椎疾患になりやすい傾向があります。

 

ストレートネックの何が悪いの?

 

頸椎は本来、先述したように頸椎30〜40度の湾曲(前弯)があります。この前弯は頭の重さを分散できる効率的な角度と言えます。 しかし、ストレートネックは前弯の角度が減少するため、頭の重さを効率よく分散できなくなります。結果的に首の骨の老化を早めることにつながるため、頚椎症や首のヘルニアになりやすくなるのです。

 

また、ストレートネックの方は平均的に背骨の老化スピードが通常よりも早い傾向があります。つまり、関節の硬化が始まるスピードが早くなるのです。

 

ストレートネックは元に戻るの?

 

一度変形した頸椎はなかなか元に戻るのは難しいです。加齢とともに首の骨が変形するため、物理的に変形した骨が修復することはほぼありえません。

 

ストレートネックは予防が大事

 

ストレートネックは完全に治るということはほぼありません。したがって、スレートネックにならないことが大事になります。 また、ストレートネックになってしまっている場合でも、これ以上悪化させないためのケアを行うことは言うまでもありません。

 

カイロではどんな施術をするの?

 

ストレートネックに対して予防・改善するためのカイロプラクティック・アプローチは「姿勢の改善」がキーポイントになります。 姿勢でも特に重要なのが、頭の位置を修正することです。

 

ストレートネックの場合、頭の位置が通常より前方にズレている傾向がみられます。 この傾向をカイロプラクティック的観点で考察すると、頸椎、胸椎、胸郭、骨盤などに関節サブラクセーションがある可能性があります。

 

S字カーブに戻すことが大事なの?

 

良い姿勢というのは、人それぞれ微妙に異なると思いますが、平均的に良い姿勢の水準を挙げるならば背骨のS字カーブがあるか、ないかだと思います。 人は本来、背骨の構造はS字カーブに沿って成り立っています。背骨のS字は以下の部位で成り立っています。

 

●頸椎(前弯)

●胸椎(後弯)

●腰椎(前弯)

 

※厳密言うと胸椎に関しては心臓の圧迫を避けるように微妙に数ミリ単位で右側に側弯しています(胸椎の生理的湾曲)。 しかし、加齢や生活習慣の負担により、本来あった背骨のS字カーブは徐々に失われていきます。 これは椎間板や骨がすり減ることが大きな要因です。

 

よって、医学的に見ればレントゲンでストレートネックと診断されても痛みや不調がなければ問題なしとなります。 つまり、ストレートネックは関節の老化において生ずる生理現象でもあるため、仕方がないとみる専門家もいます。

 

関節の硬化があるストレートネック

 

ストレートネックを抱えるほとんどの方は、関節の硬化が進行しています。関節の硬化の特徴として背骨が一本の棒のように感じられ、可動性が減少している傾向があります。 そのような状態の方に通常のカイロプラクティック矯正は非常にリスクがあり、危険行為と言えます。

 

その場合、比較的安全な施術法として関節モビライゼーションがあります。 関節の硬化が進行している方に関節モビライゼーションで少しでも背骨に動きをつけるだけで、痛みや不調は軽快する傾向にあります無理な矯正はかえって患者さんの症状を悪化させる原因にもつながります。

 

頸椎症

 

ストレートネックを抱える方は頚椎症であることが多いです。頚椎症は、加齢による頸椎の椎間板退行性変性により椎間板腔狭小化、骨棘がなどの異常所見が認められる症状です。 頸椎症は軽度から重度まで幅広く、重度の症状は頸椎神経根症や椎間板ヘルニアに移行することがあります。

 

頸椎症のレントゲン所見として以下が挙げられます。

●椎間板腔狭小化

●骨棘

●靭帯肥厚

●靭帯骨化

●頸椎前弯低下 頸椎症の好発年齢

 

頸椎症の好発年齢は40代以降になります。

 

頸椎症の発症要因

 

頸椎症の発症要因として以下が挙げられます。

●加齢

●猫背

●ストレートネック

●不良姿勢

●荷重ストレス 頸椎症の好発部位

 

頸椎症における痛みやしびれの原因となる好発部位は頸椎5/6番、頸椎6/7番と言われています。理由は生体力学的に負担がかかりやすいからです。

 

頸椎症による神経症状

 

頸椎症が重症化すると首の痛みや腕にしびれが出現することがあります。

 

頸椎症による痛みやすい動作

 

●首を反らす

●痛みが出現するに首を回す これは構造的に頸椎の椎間孔が狭くなる動きであるため、神経や関節組織の負担増加につながるからです。 頸椎症によるしびれが出やすい部位

●親指

●人差し指

●肘周辺

●首から肩にかけて

●肩甲骨の後ろ 末梢神経の損傷具合です。

 

神経の三段階別の変性をご覧ください。

 

● 一段階:Neuropraxia (神経遮断、神経麻痺、一過性伝導障害)

●二段階:Axonotmesis(軸索断裂)

●三段階:Neurotmesis(神経断裂、軸索離断)