ワーラー変性

ワーラー変性(軸索変性)とは末梢神経が圧迫や挫傷により神経組織の機能に悪影響を及ぼす状態を指します。ワーラー変性は軽度から重度まで幅広く、重度のワーラー変性は神経組織の全回復が難しい傾向にあります。

 

例えば、長時間の正座や腕枕をしたさいに腕や足が痺れることがありますが、これはワーラー変性の一症状です。長時間神経が圧迫や絞扼を受けると神経組織に流れる血流が途絶え、酸素欠乏に陥ります。その結果、痺れや麻痺、筋力低下、感覚鈍麻などの症状が現れるのです。

 

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、椎間板周辺や脊柱管内の骨や靭帯の肥厚により末梢神経が圧迫されてしまいます。圧迫されるだけなら症状が現れることはありませんが、圧迫によりワーラー変性が生じると坐骨神経痛や麻痺などの症状が現れることがあります。一例として画像検査によるMRIやCTでヘルニアがあるにもかかわらず症状がないのはワーラー変性がないためと考えられます。

 

また、モヤモヤ血管などの回復過程における異常血管増殖により疼痛が出現することもあります。必ずしも原因は一つとは限らず、様々な視点から考察することが重要だといえます。