猫背のお話

猫背は年齢と共に進行しやすいものです。なぜなら、姿勢維持筋の機能低下、椎間板や椎骨などの退行性変性による器質的変化が生じるためです。

 

猫背の改善には様々なアプローチ方法があります(筋力トレーニング、ストレッチ、体操、姿勢矯正など)。今回は首の伸筋群の視点からお話したいと思います。

 

頭を支えるには首の筋力が必要不可欠です。なかでも、胸鎖乳突筋や脊柱起立筋の機能低下は猫背の進行を促進させます。通常猫背の方は頭の位置が前にズレていることが多いです。逆に頭の位置が後ろにずれている方はほぼいないと思われます。

 

頭の位置が前にずれると、姿勢を補正するために胸椎の後弯増加が生じます。これは生体力学的に胸椎の椎間板圧縮作用を強める結果になります。つまり、先述した椎間板や椎骨などの退行性変性による器質的変化が生じやすくなるのです。

 

改善方法として頭の位置を正常位置に戻せばいいのですが、そのキーポイントとして首の伸筋群の機能が挙げられます。普段、頭の位置が前にずれていることで、胸鎖乳突筋や斜角筋の短縮が生じやすくなります。その結果、拮抗筋である首の伸筋群の頚板状筋や後頭下筋群などの遠心性収縮が活発になります。

 

首の伸筋群の遠心性収縮が優位になることで求心性収縮機能低下が起こります。猫背の方はこの状態が顕著にみられます。

 

意識する事として顎を引くことが重要になります。顎を引くことで首の伸筋群の求心性収縮ならび胸鎖乳突筋などの屈筋群の遠心性収縮作用が発生します。結果的に顎を引くことは頭の位置を正常位置に戻すことにつながり、脊椎の関節位置モーメントの改善にもつながります。

 

補足:腕立て伏せは猫背改善トレーニングに最適な方法だと思います。腕立てのポジションは首の等尺性収縮(筋の長さが等しい)が作用するからです。