サッカーと腰痛

スポーツを行う方にとって、怪我は常に気をつけなければいけないことです。特にサッカーでは接触プレー、成長時痛、オーバーユース、加齢などによる怪我や外傷がつきものです。

 

●椎間板ヘルニア

●腰椎分離・すべり症

●筋筋膜性疼痛症候群

●腰椎骨折、損傷など

 

 

■損傷リコールとは?

 

損傷リコールは過去の怪我(主に外傷)により生じた顕在的・潜在的な外傷性トラウマが原因で筋紡錘などの神経学的な反応が乱れているか検査をするテクニックです。

 

例を挙げるとすれば、交通事故によるむち打ち、捻挫、打撲、転倒などで生じた古傷がトラウマとして脳に記憶されることで姿勢制御に悪影響を及ぼしていることがあります。

 

一般的に姿勢制御のための主な入力は、視覚、平衡感覚、足関節の機械受容器からです。また、姿勢の順応は、これらの部位からの求心性の入力を小脳が統合し、運動ニューロンプールに出力をすることで制御されています。

しかし、外傷性の怪我を負うことで身体に損傷が加わる場合、以下の神経学的な変化がみられます。

 

・屈曲反射

・逃避反射

 

過去に負った古傷がこうした神経学的な変化で現在までも姿勢制御などに悪影響を及ぼしている可能性があるのです。

 

また、イップスや外傷後のパフォーマンス低下が、損傷リコールの影響により生じていることもあります。

話はそれましたが、サッカーにおける腰痛は接触プレーや成長時痛を除けば、ある特定の動作による負荷が大きく影響します。

 

その特定の動作とはボールを蹴る動作とジャンプをする動作が挙げられます。

 

この二つの動作に共通することは腰椎を伸展(回旋+側屈)させる動作があることです。慢性的な腰椎伸展動作は腰に過大な負荷を与えます。

 

※腰椎のカップリングモーションを考えれば伸展は回旋+側屈も含まれます。

 

まず、ボールを蹴る動作では蹴る足のフォロースルーのときに腰椎伸展が加わります。また、ジャンプ動作でも体を鞭のように反らすため、必然的に腰椎は伸展します。

 

この二つの動作を生体力学的に掘り下げると腰椎の上下の分節間における剪断力が生じていると考えられます。

 

この状態を放っておくと腰椎分離症やヘルニアなどの問題につながっていくのです。では、カイロプラクティック的な観点からどのような予防や対処を行うかをお話したいと思います。

 

アプローチ方法は星の数ほどあり、すべてを述べることはできませんが、一つは関節の可動亢進と可動低下を分析することです。

 

腰椎の剪断力が生じる部位は関節の可動亢進がみられる傾向にありますが、その代償として他の部位における関節の可動低下が生じていることがあります。

 

また、この問題において、関節の可動亢進と可動低下のどちらが先に生じるのかはケースバイケースであります。

 

では関節の可動低下はどこで起きやすいのか。それは、以下の部位で出現しやすいと考えれます。

 

●股関節

●膝関節

●肩甲骨

●仙腸関節

●胸椎 など

 

特に股関節や膝関節の柔軟性低下は腰椎の剪断力を強める傾向があるため注意が必要です。また、先述した二つの動作の腰痛は筋力が必要となる10代以降に生じやすい問題でもあります。