記憶の処理

記憶には主に長期記憶と短期記憶があります。短期記憶は脳の海馬と呼ばれる部位に保存されると言われています。物理的な保存というよりはシナプスの形成といったほうがいいでしょう。

 

では長期記憶はどこに保存されるかといいますと前頭前野と呼ばれる部位に保存されると言われています。

 

短期記憶から長期記憶に移る過程で保存場所が変わるのは不思議な現象(シナプスの可塑性)ですよね。また、海馬については脳の研究者である池谷裕二さんの本がお勧めです。

 

さて、記憶には主に二つの種類があると述べましたが、記憶は良い記憶と嫌な記憶にも大別されます。これはトラウマや脳報酬系の重要な指標にもなります。

 

嫌な記憶におけるアプローチとして瞑想法やEMDR、マインドフルネスなどがありますが、前頭前野に保存された嫌な記憶を消去することはかなり労力のいる作業です。

 

上記のアプローチは嫌な記憶が脳内でイメージされたときにどれだけ交感神経系の反応を抑えることができるかが重要になります(イップスやパニック発作、めまい、過呼吸など)。また、イップスに関しては大脳基底核や平衡感覚、筋の伸張反射などの修正も必要になります。

 

EMDRは眼球運動やタッピングなどを用いたメンタルケアですが、厳密には数種類に分別された長期プログラムです。眼球運動やタッピングの際に嫌な記憶を連想させる意図として、これらの運動は連動性かつ交互に行う運動であることです。

 

連動制かつ交互に行う運動は脳内においてかなり刺激の強い運動です。刺激の強い運動を行う際中に嫌な記憶をイメージすることでトラウマに対する拒絶反応を軽減させる狙いがあります。

 

人は寝ている最中に眼球を上下左右に動かしています。これは一日の記憶を脳内の高度な記憶処理で整理する際に眼球運動で負担を分散させているのだと思います。仮に眼球運動がない場合、脳はパニックを起こして大変なことになるでしょう。